寺院



 【寺院の敷居・鴨居】
 

施工前

 
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お寺の本堂の敷居と鴨居の虫食い穴を埋めます。
その虫食い穴は何カ所というふうに表現できる物ではなく、数えることができないくらいありました。
現調に寄せて戴いたときに、「交換しないのですか。」という言葉が口から出てしまったくらいです。
この度は法要に際し、取り敢えず補修で穴をふさぐと言うことでした。

施工前の写真を見て下さい。
大きな穴から小さな穴までたくさんありますでしょ。
いや、これはこれで美しい造形美だともいえるほどです。

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矢印  

施工中

 
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作業工程はまず研磨です。
木材の表面が風化などでカサカサになっているので、それを研磨して落としていきます。
そのあと、着色と木地固めの為に塗料をしみこますように塗ります。
これは、この後のパテ埋めの前に行うのがちょっとしたミソです。
無駄な工程のようですが、パテ埋めの前に一度染みこませてやる方が、いくつかの点においてより良いと判断したからです。(が、そのあたりは省略します。)

充填剤にエポキシパテとアクリルパテを使用しました。
エポキシパテは市販のものを使いましたが、アクリルパテは自作しました。
アクリル樹脂に体質顔料を数種類混ぜて作りました。
作り方は、アクリル樹脂と顔料を混ぜるだけです。
粘度と強度と研磨しやすさ等を考慮し、目的に合わせて顔料を選択して混ぜ合わせます。

その後、着色顔料で調色しました。
仕上がりに近い色にパテを調色しておいた方が、塗装もやりやすいですし、塗膜が摩耗したときもきれいですしね。
今回使うパテは、通常の補修に使うのとは比べものにならない量です。
30センチ四方の定盤を作って、その上にパテを乗せて充填していきました。
クロス屋さんの下地付けのようでした。

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矢印  

施工後

 
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仕上がりは真っ新の部材くらいとはいきませんが、それとなくきれいな感じに上がりました。
それも、天然顔料100パーセントの塗料を使ったことが、全体の雰囲気を損なわずにしっとりと仕上がった理由だと思います。
社寺や古民家・町家に合うのだと思います。
場合によっては、ツルンと上がらない塗料が合うことだってあるのですね。

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